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油絵

 玄関に、何年か前に初めて海外に行ったとき、日本に帰る日の朝早い時間にホテルの近くを散歩していると自作の油絵を道端に並べて売っているおじさんがいた。もしかしたら自分ではなくて知り合いの描いた油絵を売っていたのかもしれない。ヨーロッパだったので、10ユーロだったか、15ユーロだったかで、小さい油絵を買うことにした。おじさんは油絵をコンビニの袋みたいなくしゃくしゃのビニール袋に入れて渡してくれた。ビニール袋はコンビニの袋ではなくて、ただの白いビニール袋だった。そう思うのはイタリアではコンビニに一度も入らなかったからだ。そこはイタリアだった。だった、というか、今もそこはイタリアだ。初めて海外に行ったのがイタリアだった。初めてイタリアに行ったとき、日本に帰る日の朝早くにホテルの近くで油絵を売っていたおじさんから買った油絵が、今は自宅の玄関に飾ってある。